電気代はおそらく皆さんが最も気にする部分の1つでしょう。
しかしながら、冷蔵庫の場合「同じ定格内容積」の製品ならば、どのメーカーのどの製品も、「ほとんど年間電気代は変わらないと思います。
冷蔵庫は小さいほうが電気代が安いと思いがちですが、実際に冷蔵庫の年間消費電力を見ていくと、大型の冷蔵庫のほうが年間消費電力量が小さく、電気代が安くなる場合があります。
大型冷蔵庫は値段は高額ですが、省エネ機種が多く、そのため電気代は小型の冷蔵庫よりも安く抑えられる傾向にあります。
機種が新しいほど省エネ性能が優れています。
古い冷蔵庫を使い続けている場合は、新しい機種に買替えるだけで、月々の電気代が安くなる可能性が高いといえます。
進化し続ける冷蔵庫の省エネ機能
インバータ制御機能
多くの冷蔵庫に、インバータを自動で細かく制御する「インバータ制御機能」が搭載されています。これにより、従来は一定だったコンプレッサー(圧縮機)やモーターなどの回転数を変化させ、効率のよい運転が可能になりました。
扉の開閉や庫内・周辺の温度に適したモーターの回転数に制御し、きめ細かい運転ができるため、無駄な電力をつかわず大きな省エネ効果につながります。
自動省エネ機能
自動節電機能は、扉の開閉が少ないときや、庫内の温度が一定に保たれているときに、消費電力を抑えて運転する機能のこと。この機能によって、外出時や就寝時など扉の開閉をしないときには、自動的に省エネ運転に切り替わります。
断熱材
近年では、ノンフロン発泡断熱材やノンフロン真空断熱材などの高性能断熱材を用いることで、冷気が逃げにくくなり、コンプレッサーを動かす頻度も減って、省エネにつながっています。
冷蔵庫の電気代を節約するポイント
経済産業省資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2022年度」より情報を抜粋し、1kWhあたりの電力量料金単価は31 円/kWhとして再計算しています。
壁から離して設置する
冷蔵庫は庫内を冷やすために、熱を外に放出しています。冷蔵庫を設置するときに、両側と上部に隙間がない状態にしてしまうと、効率よく放熱ができません。
冷蔵庫の両側と上部が壁に接している場合と、片側だけが壁に接している場合を比較すると、年間で45.08kWh、電気代にして約1,397円の差額が生じるといわれています。
冷蔵庫を設置するとき、つい壁にぴったりつけてしまうことがありますが、節電のためには壁から離して放熱スペースを確保することが大切です。
冷蔵室に食品を詰め込みすぎない
冷蔵室のなかに食品を詰め込みすぎると、庫内の冷気が循環しにくくなるため、余計に電力を消費してしまいます。さらに、冷蔵室に食品などがいっぱいに詰まっていると、目当てのものを探し出すのに時間がかかり、扉を長く開けることになりがちです。そうすると庫内の冷気が逃げ、さらに電力を消費することになります。
冷蔵室にものをパンパンに詰め込んだ状態から半分に減らすと、年間で43.84kWhの省エネとなり、約1,359円の電気代節約につながるとされています。
冷蔵室のなかは、食品を入れても奥の壁が見える状態が理想的です。
ただし、冷凍室の場合は、冷蔵室とは反対に、隙間なくぎっしり詰めたほうが節電につながります。冷凍室は外気との温度差が大きいため、扉を開けたときの温度上昇が冷却効率を左右しがちです。このとき、中身が隙間なく詰まっていれば、凍った食品同士が保冷剤の働きをしてお互いを冷やし、庫内の温度上昇を抑えることができます。
扉の開閉回数と時間を最小限にする
扉の開閉頻度が多かったり、開けている時間が長かったりするほど、冷気が逃げて無駄な電力消費につながりかねません。たとえば、扉を開けている時間が20秒と10秒では、年間で6.10kWh、電気代で約189円の差が生じます。
適切な設定温度にする
多くの冷蔵庫は、「強」「中」「弱」の温度設定が可能です。そして、消費電力は「強」よりも「中」、「中」よりも「弱」のほうが小さくなります。
たとえば、周囲の温度が22℃で設定温度を「強」から「中」にすると、年間で61.72kWhの省エネになり、電気代約1,913円の節約につながります。
ただし、節電を優先するあまりに無闇に庫内温度を上げると、なかの食品が傷んでしまう可能性があります。気温や湿度の高い夏場は「強」、室内の空気が冷えている冬場は「中」にするなど、季節や気温に合わせて調節するのがおすすめです。